プロフィール
小出ナオキ [日本]
雲のお化けやドクロなど、異界のものたちや自身とその家族を、主にFRP、セラミック、木などを用って作品化する。愛らしくもどこか不気味で不思議な立体作品は詩情にあふれ、自伝的でありながら、鑑賞者の記憶を本質的に刺激するような魅力を持つ。
《message》
作品について、美術評論家の森口まどか氏は次のように書いています。
「日常や自己の内なるところから着想する在り方は、小出にかぎらず、今日のアートシーンにあっては定跡といっても良いほどだと思うが、その場合、微温的な暮らしをそのままかたちにしても作品としての強度は持ち得ない。小出ナオキの場合、臆面もなく家族や身近な人たちとの出来事を語りながら、センチメンタリズムに堕ちず、事の本質を見据えるふてぶてしさが、アーティストとしての核をなしているように見える。」
また、小出は滋賀県立陶芸の森で滞在制作の機会を得たこともきっかけに、2009年頃から彫刻の主な素材をFRPからセラミックに変えました。FRPにはない、いわばセラミックという素材特有の”裏切り”を、小出は「まるで、子どもが産まれてくる前の父親に産まれた後の生活が想像できないような、そして、産まれて初めてその意味がようやく理解できる感じと似ています。制作する意味、が少し分かってきたような気がしている」と語ります。
(文責:小出ナオキ)