プロフィール
三木サチコ [日本]
1974年群馬県生まれ。彫刻家。2001年東京造形大学 (彫刻)研究生 修了。異世界のアニメキャラクターのようでありながら、人間の内面的な本質を視覚的に表現している。
《message》
私は人間の中身の形をつくっています。
「人間は見かけじゃない、中身が大事だよ」なんて子供のころよく言われたけれど、自分を守るものや飾るものをすべて取り去ったらどんな形になるのだろう。
そう思って作った自分の弱さや小ささを表に出した作品が意外な強さを持ち他者の共感を得た経験から、物事に潜む逆説性を確信するようになりました。普段私は自然のものに強く惹かれると同時に、ものすごく人工的なものにも心を動かされます。美しい朝日にも感動するけれど遊園地の作り物にも感心してしまいますし、山登りが好きだけれど山で食べるカップラーメンも大好きです。人間の中身の形を作ろうとしながら中は空洞だったり、環境を心配しながらプラスチックを使ったり。矛盾に満ちています。けれど、一つのことを志向するとき、ヒトは往々にして反対側を忘れがちです。
デジタル社会が進んで、簡単、便利、時短で出来るものが増え、巷にあふれる製品は除菌抗菌で清潔になり、安全安心をうたう品物も増えました。ほとんど反対側を忘れかけているようですが、反対側が存在しなくなることが本当に良いのか、作品を作りながら考えます。
この地域に残る築100年を超す建物は、たくさんの人間を見守ってきました。そこを少し変わった形の人たちがしばし間借りします。その様子を簡単、便利、時短ではなかった時代の建物や街並みとともに楽しんでいただけたら嬉しいです。